鹿肉が初めてでも失敗しない家庭レシピ 鹿の照り焼き
日本の食文化は、四季折々の食材を活かした多彩な料理があり、それも各地方で異なった料理になったりすることで知られています。最近では、和洋折衷が進展し創作料理も珍しくなくなってきたように思います。
その中でも、近年注目を集めているのが「鹿肉」を使った創作料理です。
鹿肉は、低脂肪・高タンパクでヘルシーで健康志向の方や、少し健康が気になり出した年配の方にとっても、魅力的な食材と言えます。
しかし、「鹿肉を家庭で料理するのは難しそう」と感じる方もいるかもしれません。確かに、初めての食材に挑戦する際の不安は大きいもの。
でも、他の素材もそうであるように、鹿肉もシンプルな調理法で美味しく楽しむことができます。今回は、鹿肉が初めての方でも簡単に挑戦できる「鹿の照り焼き」のレシピをご紹介します。このレシピを試すことで、鹿肉の魅力を存分に味わうことができるでしょう。
目次
鹿肉の照り焼きに挑戦する理由
新しい味覚の探究心、あるいは栄養価への関心から、鹿肉の照り焼きに挑戦する人が増えています。新たな食材への挑戦は料理の幅を広げ、生活を豊かにするだけでなく、地方創生にも貢献します。
鹿肉の栄養価と健康効果
鹿肉は、その特異な栄養価が認められ、健康への効果が期待できる食材のひとつです。
ビタミンB群やたんぱく質が豊富に含まれています。ビタミンB群は、体のエネルギー代謝を高める作用があるため、ダイエット効果が期待できます。また、三大栄養素の一つとされているたんぱく質は、身体の機能やホルモンを調節したり、免疫力と関連のある栄養素も含まれています。
さらに、鹿肉には、牛や豚など他の肉類に比べてコレステロールが少なく、必要な脂肪酸を必要最低限に抑えつつ、必要な栄養を補うことが可能な食材というわけです。
(写真は筆者が最近いただいてとても美味しかった寒こうじ漬け。漬け込んであるお肉だからかとても柔らかく、それでいてちょうど良い味付け。今回記事で紹介している部位とは異なりますが、麹のパワーで本当にまろやかな味と食感に仕上がっているので、試してみてほしいですね。)
地方創生に貢献する鹿肉
また、鹿肉を食材として利用することは地方創生にも貢献します。
日本では、鹿の数が増えすぎて、森林被害や農作物への食害が問題となっています。その鹿を適切に捕獲し、その肉を食材として活用することで、地域資源を有効活用しつつ、地元経済の活性化にもつながります。
新たな食材への挑戦で料理の幅を広げる
鹿肉の照り焼きは、芳醇な香りと深みのある味わい、弾力とジューシーさが特徴です。
鹿肉の照り焼きに挑戦することは、健康効果の追求、地方創生への貢献、料理の幅を広げるという意味で価値があるのです。高い栄養価を活かし、新たな調理法に挑戦しませんか。
鹿肉の照り焼きの簡単レシピ
鹿肉を使用した照り焼きのレシピをご紹介します。その味わいは、肉好きな方々に必見のレシピと言えるでしょう。日頃食べ慣れない鹿肉も、手軽な照り焼き料理にすることで家庭の食卓にピッタリな一品に変身します。料理のスキルに自信が無い方でも簡単に挑戦できる、シンプルな作り方をお伝えします。
必要な材料とその分量
今回のレシピで使うのはモモ肉200g(2人分)です。
ロースやヒレに比べてお手頃価格で、焼き物や炒め物、どんな料理にも合う万能な部位です。
【レシピ】
■タレ
- 砂糖 大さじ1.5
- 醬油 大さじ2
- 酒 大さじ2
■焼き用油
- サラダ油 少々
を準備しておきましょう。
①鹿肉を食べやすい大きさ(一口大)に切り分けます。厚みは3mmくらい。
②タレの調味料をあらかじめ合わせておきます。
③フライパンにサラダ油を少々熱し、中火で両面を焼いていきます。
④裏面にも焼き目が付いたら、タレをフライパンに入れ、肉をタレに絡める。
⑤タレが焦げないように時々フライパンを振りながら、とろみがつくまで煮詰める。
⑥お好みの野菜と一緒にお皿に盛り付けて完成!
ポイント:MOMIJIプレミアム品質の鹿肉は、若い個体のみを使用しているため、お肉に臭みがなく柔らかく歯切れが良いのが特徴です。臭みとりや下味をつける必要がないので、あらかじめタレに漬け込まずに、フライパンでタレと絡めるだけのレシピとしました。時間がない時でもできる簡単な調理で、鹿肉らしい風味と食感を、日本人定番の味つけでお楽しみください。
照り焼きのタレの調合方法
自分の好みに調合できるのが照り焼きのタレの魅力です。基本的な調合方法としては、醤油・酒・砂糖の比率を上記の比率のとおりに調合して、中火で煮詰めていきます。照り焼きのタレは作ってしまうと冷蔵庫で1週間程度しか保存できませんので、使う分だけ作るようにしましょう。
鹿肉照り焼きのアレンジレシピ
新鮮な鹿肉を利用した「照り焼き」のアレンジ方法についてご紹介します。
チーズをトッピングした鹿肉の照り焼き
上記のレシピで作った照り焼きに、ひとアレンジ加えたいという方は、チーズをトッピングした鹿肉の照り焼きをおすすめします。照り焼きソースを煮詰めた後、すぐに火から下ろします。そしてすぐに溶けるチーズをトッピングし、蓋をしてチーズが溶けるまで待ちます。突飛な組合せにも思えますが、ハンバーガーでもお馴染みのあの味付けです。鹿肉は脂肪分の少ないあっさりした食材なので、ボリューム感、スペシャル感が欲しい時に試してみてはいかがでしょうか。
鹿肉照り焼きに合うお酒とその理由
鹿肉の照り焼きの美味しさを引き立てるお酒を合わせることで、料理としても一段レベルアップして楽しむことができます。おすすめのお酒を下記に。
日本酒と鹿肉照り焼きの相性
日本酒は、独特の甘みと旨み、そして後口が特徴です。照り焼きと合わせるときは、若干冷えているかな?というくらいのほうがマッチします。
鹿肉照り焼きはその特有の濃厚な旨味と、甘辛いタレが特徴であるため、その風味を程よく中和し持ち味を引き立てるという点で中口〜やや辛口の純米酒が適していると言えます。
日本酒の中にもまろやかな口当たりの甘口からキレの良い辛口タイプまで幅広い種類があるので、お好みに合わせて選んでみてください
料理初心者でも安心 鹿肉照り焼きのよくある失敗と対策
料理はいつもうまくできるとは限りません。失敗することもあるでしょう。
照り焼きのタレ作りで失敗しないコツ
料理の味を左右するのがタレ作りではないでしょうか。タレが上手く作れないと料理全体の味まで影響しますから、非常に大切なポイントとなるでしょう。
失敗としてよくあるのが、「煮詰めすぎ」です。煮詰めすぎると、焦げた香りが鹿肉の風味に勝ってしまいます。焦げないように、煮詰め具合をしっかり確認しましょう。上記の画像を参考に、適度な煮詰め具合だと美味しく作ることができます。
鹿肉照り焼きの美味しさを際立たせるテクニック
鹿肉照り焼きの美味しさを際立たせるテクニックとして、野菜と一緒に調理することをおすすめします。野菜から出る甘みや旨みが鹿肉の風味を引き立て、より美味しく感じさせます。特に白ネギやマッシュルームは、鹿肉との相性抜群です。
まとめ
甘辛い照り焼きのタレが鹿肉の旨味を引き立て、食欲をそそります。
調理は非常にシンプルで、照り焼きのタレを用意し、鹿肉を焼いて煮詰めることで美味しい鹿肉の照り焼きが完成します。
さらに、照り焼きだけでなくソテーやステーキ、野菜炒めなど、鹿肉を活用したメニューは数え切れないほどあります。照り焼きの次は、他のレシピも是非試してみてください。
文:鈴木 広法(local hack) 編集:工藤 秀佳
監修:工藤 秀佳
1996年北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部畜産科学科で畜産や食肉について学ぶ。一度は住宅業界で就職するが、やはり食肉に関わる仕事をしたいと思ううちに、大槌町地域おこし協力隊の募集を目にし、大槌ジビエソーシャルプロジェクトの活動内容に惹かれて応募。2021年4月から大槌町に移住し、狩猟免許を取得。活動していく中で農家さん達に出会い、農業被害を減らすことを目的にわな猟を中心に活動。2023年4月からMOMIJI株式会社の社員となり、他地域にジビエ事業を広める「ジビエ塾」の企画運営等を担当。
- MOMIJIコラム編集部